2001年、秋田県大潟村では村の若手農業者が中心になり、「21世紀大潟村環境創造型農業宣言」を発表しました。
その宣言には、環境負荷をできるだけ減らし、より良い環境を創造する農業の実践、今まで以上に安全でおいしい農産物の生産に努める、農業だけでなく生活面でも環境にやさしい暮らし方を追求する、それは行政主導でなく住民が自主的に創意工夫して行動すること-とする理念が書き込まれ、さらに自分たちだけでなく、行政、農協、専門家、八郎湖周辺の人々、全県・全国の関心ある人々との理解と協力を得て実現していくと謳われました。
(全国町村会より引用)
21世紀大潟村環境創造型農業宣言
2001/06/30
私たち大潟村の村民は、農業者としてまた生活者として、大潟村と八郎湖の自然環境をよりよいものにするために、次のことをここに宣言します。
1.
環境負荷をできるだけ減らし、自然を豊かに保つことが農業者の社会的責任であることを自覚し、よりよい環境を創造する農業を実践します。これまでの大潟村の実績と経験をふまえ、技術の向上と開発に努めます。
2.
世の中には食べものがあふれていますが、私たちの命を育み健康を守る「本物の食べもの」はますます手に入りにくくなっています。私たちは今まで以上に安全性と品質にこだわり、食べる人の健康を守るおいしい農産物の生産に努めます。
3.
農業だけでなく、生活面でも環境にやさしい暮らし方を求めます。そのためにゴミ、水、化学物質、エネルギーなど身の回りの環境問題に関心を持ち、できるところから改善していきます。
4.
行政が主導するのではなく、村民が自主的に、自分たちの創意工夫を生かして行動することをめざします。
宣言を実行するために、さまざまなテーマで自主的活動を行う「活動グループ」を作ります。活動グループをまとめ、活動の進み具合を把握し、全体の調整を図るために「大潟村環境創造21」を置きます。この委員会が村全体の活動状況を把握し、定期的に公表します。こうした仕組みを通じて、宣言を継続的に実行します。
5.
この宣言は私たちの力だけではやりきれません。行政、農協、専門家、八郎湖周辺の人々、全国・全世界の関心ある人々との理解と協力を得て宣言を実現していきます。
宣言の成果と進捗状況を情報開示します。そのためにデータブックを発行し、ホームページを開設します。
同時に、私たちの運動に共鳴して下さる方々と協力できる場を作ります。こうした活動を通じて、環境に対する農業者の貢献をきちんと評価できるような新しい「農業評価の枠組み」作りをめざします。
6.
私たちは宣言の手法が全国どこでも応用できるものだと考えています。自分たちの地域でも実行したい農業者には宣言のノウハウを公開します。試行錯誤が続くと思いますが、お互いの経験を交換しながら、21世紀の日本農業のモデルを全国に創り出していきましょう。
この宣言を実現することを通じて、未来に美しい環境と景観と農村文化を伝え、国民に理解される21世紀の日本農業のモデルを創造するために私たちは精一杯の力を尽くします。
(大潟村環境創造21より)
稲わら・もみ殻・米ぬかの処理について
(大潟村環境創造21より引用)
稲わら・もみ殻・米ぬかの処理方法については、1998(平成10)年の村内農家アンケートに該当する質問があるのでその結果を紹介する(※11)。
稲わらについては、ほとんどすべて(99.1%)がすき込みされており、持ち出しや焼却はほとんどない(図1)。もみ殻と米ぬかについては、「燃やす」という回答はそれぞれ7.2%、0.6%と少なく、「自分で再利用」(35.6%、24.4%)、「他人に譲る」(19.1%、8.9%)、「集荷団体にまかせる」(31.0%、52.3%)という結果になった(図2)。具体的には、もみ殻のほとんどは水田の暗渠に使われ、米ぬかは有機質肥料の原料などにも利用されている(「第1部 2.有機質肥料・堆肥の生産と利用」参照)。これらを総合して考えると、稲の残さについてはほとんどが再利用されているといってよい。