岡山後楽園では、毎年冬に、芝の野焼きが行われています。
昭和40年からおこなわれている行事で、春の芽出しを揃えたり、病害虫駆除の効果もあるそうです。
(写真引用:岡山後楽園)
春の芽出しや害虫駆除効果と聞くともっともらしいですが、昭和40年から行われていたのなら、以前はどうしていたのでしょう?
大切な工程なら日本中の庭園で芝焼きが行われても良さそうなのに、他ではあまり見た事がありません。
新宿御苑にも芝生広場がありますが、野焼きは聞いた事がありません。
庭園管理について調べてみました。
(写真・青字:新宿御苑より引用)
いつも芝生がきれいな秘密は、こまめなお手入れにあります。
夏から秋にかけての暑い時期は草木がぐんぐんと伸びるので、草地や芝生地を中心に、庭園担当職員が定期的に草刈り作業を行っています。
広くて平坦な芝生地は、大型の芝刈機を使って、休園日を中心に作業を行います。
最後に芝生地や園路に散らばった刈り草を集めます。まとめた刈り草はごみとして捨ててしまうのではなく、必要に応じて植栽エリアへ戻す等して、発生材のリサイクルに取り組んでいます。
このほかにも落ち葉で作った腐葉土の活用など、日ごろより自然環境資源の循環利用に取り組んでいます。
定期的に草刈をする、刈った草をリサイクルする、これが庭園管理の基本です。
農園も同様です。
野焼きがあたかも必要不可欠な作業の様に語られることが多いですが、野焼きしない庭園、農場も多くあります。
世界中で大気汚染が深刻になっているのだから、風物詩とか伝統とかに縛られず、環境と健康を第一に考えてみませんか?
伝統といえば、松の「こも巻き」があります。
松の害虫は越冬するために下に降りてきて枯葉の下に潜ろうとしますが、
途中の幹にこも(藁の腹巻みたいなもの)を巻いておくと害虫がそこで越冬します。
春にこもを外して焼却することで害虫を駆除する。
と、今まで信じられてきました。
しかし、最近の研究では、害虫はこもの下の幹の割れ目の中で越冬し、こもの中にはそれほど入っていない(わずか4%)ことがわかりました。
さらに残念なことに、こもの中には害虫の天敵のクモなどが多く(57%)越冬していました。
(参考:tenki.jp)
(参考:カントーの樹木医ブログ)
このため、姫路城などではこも巻きは行われなくなりましたが、いまだに伝統に縛られ続けている所もあるようです。
カントーさんによると、
「私の考えは科学>文化なのでこも巻きを続ける意味は理解できませんでした。」
私も全く同感です。
環境汚染が深刻になり健康被害の声がたくさん上がっているのに、伝統にこだわり続ける感覚が理解できません。