スイカのつるを焼却する農家が多い理由に、「スイカつるの焼却令」というのがかつてあったそうです。
住友化学i‐農力だより 2010 年 11 月 30 日より引用
スイカは毎年同じ場所・畑に作れない連作障害の出やすい作物・野菜のひとつです。その主な原因は、根部から侵入した一種のカビに起因する「つる割病」で、株枯れするために収穫皆無になります。大和スイカの隆盛期に収穫皆無の惨状を極め、ついに昭和3年7月奈良県令で対策を講じました。その条文には①発病枯死した株は引き抜き、これを焼却すること。②収穫を終わった後は直ちに株を引き抜き、茎葉根ならびに廃果を敷き藁とともに焼却すること。③輪作を行うこと。これが有名な「スイカつるの焼却令」です。今ではむやみな野焼きは禁止されていますし、敷き藁は貴重な有機物資源として土壌に返したいところですが、見聞する限り生産者には、この風習が今も残っており、収穫直後に直ぐに火をつける人が多いように思われます。
現在では、接ぎ木苗の導入により、つる割れ病はほとんど無いそうです。
(写真:愛知県「あいち病害虫情報」より引用)
防除対策としては、
愛知県「あいち病害虫情報」によると
- 連作を避ける。
- 日当たり、通風、排水のよい畑に栽培する。
- 苗床時期は過湿にならないよう特に通気をよくし、薬剤散布を行う。
- 無病苗を植え付け、敷きワラをする。
- 茎の病斑に対しては地際部から10~20cmの範囲に塗布剤を使用する。
- 株元の葉をつみ取り通風をよくする。
高知県「こうち農業ネット」によると
- ゆうがお、かぼちゃ、とうがんなどの抵抗性台木への接木栽培を行う。
- 窒素肥料を多用すると発病を助長するので、適正な肥培管理を行う。
- 土壌の物理性が不良の場合に発生しやすいので、土づくりを行い、保水性や通気性をよくする。
- 栽培終了後は、湛水し除塩する。
- 台木の種子も含め乾熱や薬剤処理により、種子消毒を行う。
- 土壌くん蒸剤などで土壌消毒を行う。
ほとんどの病害虫対策に共通することですが、
- 適切な肥培管理
- 土壌物理性の向上
- 風通しを良くする
など植物を育てるうえで当たり前のことが大切です。
作物残さの焼却処分と病害虫の因果関係は無いということを知って下さい。