当農園ではマンゴー剪定枝をハウス内でそのまま粉砕、土ごと発酵させています。沖縄の超粘土質圃場がふかふかになっています。
「マンゴー栽培では収穫後と春の2回せん定をします。最初は枝や葉などのせん定残渣は、炭疽病や軸腐病などの病害虫の発生源となるため、すみやかにハウスの外へ持ち出していました。持ち出した残渣は燃やすか、産業廃棄物として有料で処分しなければならず、処理費用もかさんできました。」
「そこで最初に思いついたのは、せん定残渣をハウス外で堆肥化することでした。適当に野積みしておくと、1年後にはいい感じの堆肥ができあがりました。さっそくマンゴーへ還元し、一石二鳥と考えていたある日、ふとひらめきました。ハウス外に出すのも面倒だし、その場でチップにしたらどうだろう。思い立ったら即行動の私。ものは試しと、5馬力の外国製ウッドチッパー(10万円弱)を購入しました。」
「まず葉っぱがついたままのせん定枝を樹の周辺の何カ所かに集めて、その場でチッパーで粉砕。山になったチップを足でチョッチョと蹴って広げるだけです。発酵促進になればと、その日の気分で、かん水や防除のついでに自作の納豆菌やえひめAIを混ぜてまいています。これは『現代農業』でいう「土ごと発酵」!?
もう3年間そのようなやり方でせん定残渣を処理しているわけですが、結果は大変よい感じです。」
「せん定残渣をその場でチップにすることにより、ハウス外に持ち出したり、堆肥化する時間も手間もゼロ。処分費用もかかりませんし、せん定した樹の周辺にまくので手間も省けて作業がラクです。もちろんマルチ効果はあるし、地割れ防止にもなります。」
「今回の執筆にあたり試しに圃場に棒を挿して確認してみると、チップをまいてある樹木まわりは1m以上もスルスルと棒が挿さりました。驚きです! これは粘土質であるジャーガルのハウスではあり得ないことです。こうした土のおかげか、収穫初期から糖度14度以上、平均17度、最高24度のマンゴーができています。」
「心配していた病気も今のところ問題ありません。軸腐病などが出た枝もチップにしてまいていますが、適切に防除すれば激発したり、収量に影響することはないと思います。」
(注1)この記事は著作権法第32条に基づき月刊 現代農業(2017年12月号)から写真と記事を引用しています。
(注2)この記事は剪定枝処理を紹介するものであり、当農園における野焼きの有無を問うものではありません。