「山羊」を活用した中山間地のあぜ管理の省力化への取り組み
http://okayama.lin.gr.jp/tikusandayori/0602/tks04.htm
岡山県高梁農業改良普及センターにおける「山羊」を利用した雑草抑制管理・植生制御の実証です。
(1) 急傾斜の畦畔にもかかわらず山羊はエリア全体を歩き回り,法面の崩壊は見られませんでした。(山羊の通い道はつけましたが)
柵沿いに山羊道を形成
(2) 除草(草刈り)効果は期待以上で,特に草刈りの際に支障となる野イバラやクズといった広葉の雑草から山羊は好んで食べ(採食草量5~7㎏程度/1日1頭)笹や固いススキ・カヤは最後になるようですが,人手による草刈り作業は大変軽便になりました。
山羊の草刈り効果全景
(3) 山羊は飼養管理が容易で,数年間放置され和牛放牧ができないような遊休農地等へ放せば農地の復旧だけでなく景観保全にも役立つと思われます。
(4) 山羊を囲内放飼する場合,頭数や期間は畦畔の面積・形状,草種・(エサとしての)草量によって調整が必要で,さらに区割り等を細かくすれば効果的な草刈りが可能と思われました。
(5) 草の多い夏場,短期間の繋牧(杭・ワイヤーへロープ・チェーンで山羊を繋ぎ,簡易な日よけと飲み水を設けてある程度自由に移動できるようにした)も試みました。
しかし,ロープ等が絡まっても自分ではずすことができず動けなくなるトラブルが多く,特に急傾斜地では定期的な観察(見守り)が必要なことが分かりました。
(6) 経費については,山羊(雑種の去勢)の調達に1頭5千円~1万円程度,囲いの資材(ワイヤーメッシュ・金網等)に約5万(10a当たり),繋牧ではワイヤー・ロープ等に約5千円かかりました。
また,冬期間も屋外飼育を行いましたが,補助飼料を購入すればその費用が必要です。
(7) 補植したセンチピードグラスは活着し,伸長した葉先を山羊に食べられながらも繁茂,株からランナーを伸ばした晩秋までの良好な生育状況を確認しています。
現在,地上部は枯れていますが2年目の状態や植生管理について,継続・調査していきます。
写真と記事: 岡山畜産便り2006年2月号(一般社団法人岡山県畜産協会)より引用